「予期せぬ病気や怪我での入院」「進学で子供に一人暮らしをさせたい」など、お金が必要になることもあるでしょう。そんな時学資保険に加入していると、契約者貸付を活用して審査なし&低金利でお金を借りることができます。つまり、保険を解約せずに、解約払戻金の一部を借り入れできるのです。
この記事では、学資保険の貸付における仕組み、申請方法や注意点などについて徹底解説していきます。さらに、人気学資保険の貸付「かんぽ生命」に関する情報、かんぽ生命以外で貸付制度が使える学資保険についても完全網羅していますので是非参考にしてください。
この記事は、国家資格を保有している編集部の複数メンバーにて執筆され、さらに、専門のファイナンシャル・プランニング技能士(日本FP協会)に当記事の監修をしてもらった上で公開しています。
学資保険の貸付(契約者貸付)における仕組み
学資保険とは、子供の教育資金準備を目的とし、進学祝金や満期保険金などを受け取れる貯蓄型の保険になります。そんな毎月支払っている保険料(解約払戻金)を原資としてお金を借りられるのが契約者貸付制度です。すでに支払い済みの保険料ですので、審査不要でお金を借りることができます。
ここからは、そんな契約者貸付の仕組みについて解説します。
学資保険の貸付における限度額
各保険会社によって学資保険の貸付における限度額の違いはありますが、解約払戻金に対して少なくとも7割、中には9割までの貸付が可能な保険会社もあります。また、学資保険への加入年数が長ければ、それだけ解約払戻金の金額も増えますので、当然借り入れ金額もそれに比例して高くなります。
注意したいのは学資保険の貸付は契約者本人のみに有効だという点です。たとえ家族であっても、契約者以外の人が貸付を受けることはできませんのでご注意ください。
学資保険の貸付制度を利用した際の返済期間
保険会社によって異なりますが、基本的には学資保険の契約満期までが返済期間となります。なかには、貸付が行われた日から1~2年と返済期間が決められているところもありますので、貸付を受ける前に確認しておきましょう。
また、同じ金額を借りると貸付期間が更新される場合もありますが、更新の際に金利が高くなる場合もあるため、しっかりと返済計画をたてた上で利用することをおすすめします。
なお、借り入れが残ったままで満期を迎えてしまうと、満期保険金から借り入れ残高と利息を差し引いた金額のみしか受け取ることができないので、注意が必要です。
学資保険の貸付制度を利用した際の返済方法
返済方法は「一括返済」「月々の分割返済」「利息分のみの返済」など、各保険会社や契約者によって異なります。短期間での一括返済でしたら最低限の利息で済むので利息負担軽減になりますが、分割返済や利息分のみの返済ですと、貸付期間が延びれば延びるほど利息が増えていきます。
また、貸付の限度額内であれば返済が終わっていなくても何度でも借り入れすることができますが、その分返済期間も長くなり、利息分の負担も増えてしまいます。もし返済できなくなってしまうと契約そのものが解約となる場合もあるため十分にご注意ください。
学資保険の貸付におけるメリット
前述した通り、メリットは①保険を解約せずに借り入れ可能なこと、②審査不要で低金利です。子供のために毎月支払い続けてきた学資保険が解約されないのなら安心ですし、審査に通過できるかどうかの心配もなく、金利負担も少ないのは大きなメリットと言えるでしょう。それでは、詳しく解説しています。
保険を解約せずに借り入れできる
学資保険の貸付制度でしたら、保険そのものを解約せずに借り入れ可能という大きなメリットがあります。
急な出費などで生活が苦しくなった場合、学資保険の解約払戻金目当てで解約してしまう人も多いようですが、おすすめできません。なぜならば、1度解約してしまうと同じ条件での保険契約は難しく、年齢やその時の健康状態、病歴により契約の可否や保険料が変わってしまうからです。
学資保険の貸付制度を使えば、学資保険を解約せずにまとまったお金を借り入れできるため将来的にも安心感があるでしょう。
審査不要&低金利
学資保険の貸付は、それまでに支払ってきた保険料(解約払戻金)という担保があります。そのため、一般的なカードローンや銀行から融資を受ける場合とは違い借り入れする際の審査がありません。契約者であれば手続きさえ終わってしまえば約1週間ですぐにお金を借りられます。
また、金利は2~3%程度が一般的のため、消費者金融や銀行のカードローンなどと比べて低金利でお金を借りられます。
このように、審査不要&低金利という好条件で借り入れ可能なのが学資保険の貸付制度であり、きちんと保険料を支払っていれば確実にお金を借りることができます。
学資保険の貸付におけるデメリット
学資保険の貸付制度を利用する前に、学資保険でお金を借りることによってどんなデメリットが生じるのかを知っておく必要があります。
審査不要&低金利で借りられる学資保険貸付ですが、複利の存在や消費者金融よりも高い利息を支払わなければいけないケースもありますので十分ご注意ください。また、保険金の支払いが行われる際、返済額で相殺されてしまいます。このような学資保険貸付のデメリットについて詳しく解説していきます。
学資保険の貸付制度を活用すると貸付金に対して複利で利子がつく
学資保険の貸付制度で注意すべきなのが、貸付金と年利を合算した金額に応じて複利で利子がついてしまうということです。一般的な貸付の場合、元金のみに対して利子が加算されますが、学資保険の貸付制度の場合は貸付金に対して複利で利子がつくため、長期間の借り入れは金利負担が大きくなります。
例えば、学資保険の貸付制度を活用して年利3%で50万円を借りた場合、初めの1年以内に全額返済する場合の合計金額は51万5,000円です。しかし、1年以内に返済せずに2年目に入った場合、1年目の返済金額51万5,000円に対して年利3%が加算されるため、合計で53万450円を返済しなければなりません。さらに3年目に入ると、53万450円に対して年利3%が加わり、約54万6,364円を返済することになります。
確かに年2~3%と低金利で借り入れ可能な学資保険貸付ですが、長期間の借り入れは複利によって金利負担が大きくなることもありますので十分にご注意ください。
消費者金融と比較して利息が高くなることもある
各保険会社により利息に違いがあり、低いところで1.5%、高いと3%ほどになるため、長期的な借り入れをすることで、消費者金融と比較して利息が高くなる場合があります。もちろん1年以内に完済してしまえば圧倒的低金利ですが、先述した通り、学資保険の貸付は複利で利息がつきます。
その結果、3年5年と長くなればなるほど、消費者金融よりも利息が高くなり、いつの間には返済困難な状況に陥ってしまう恐れがありますので注意が必要です。
お金が必要となった段階で長期的な借り入れとなりそうな場合は、一度消費者金融や銀行のカードローンと比較し、どっちの金利負担が低いのかをシミュレーションしてみることをおすすめします。しかし、単年や2年程度でしたら学資保険の貸付の方が低金利なので、年利15~18%のカードローンよりも断然お得にお金を借りることができます。
保険金が支払われる際は返済額と保険金が相殺される
保険会社から借り入れしている状態で保険金支払いタイミングが重なった場合、保険金から返済額が相殺されてしまいます。例えば100万円の保険金が支払われるタイミングで利息を含めた借り入れが60万円残っていた際には、保険金は40万円のみとなります。
このように、子供のためにせっかく支払い続けてきた学資保険なのにも関わらず、十分な保険金を受け取れなくなってしまう場合もありますので、学資保険の貸付は計画的に利用しましょう。
学資保険貸付制度の申請方法
申請方法は各保険会社によって多少の違いこそありますが、基本的には下記の通りです。
- 保険会社に対して契約者貸付の申請をする
- 契約者貸付に必要な書類を受け取る
- 全ての書類を記入して保険会社へ渡す
- 数日~1週間ほどで貸付金が振り込まれる
一般的には保険会社の窓口や郵送で書類の受け渡しをしますが、中にはインターネット上で申請可能な保険会社もあります。まずはどのように申請したら良いのか、担当者や直接保険会社に連絡しましょう。
学資保険で借り入れした金額を返済できなかった際の注意点
万が一返済できなかった際は、損失が生じたり、不便を強いられたりする可能性があります。返済遅延で一切の給付金が受けられないこともありますし、学資保険そのものを解約され、子供の教育資金に支障を与えてしまう恐れがあります。このような損失や不便を強いられないためにも、お金を借りた場合は返済を怠らないように注意しなければいけません。
ここでは、具体的に借り入れした金額を返済できなかった際の注意点についてまとめてみましたので、借り入れする前にきちんと頭に入れておきましょう。
学資保険貸付の金利は加入年数が長ければ長いほど高くなる
どこの保険会社でもほぼ共通していますが、学資保険貸付の金利は、加入年数が長ければ高くなる傾向にあります。
その差は1%前後と数字的には低いですが、貸付期間が長ければ、たった1%でもかなりの負担がのしかかります。もし加入期間が長い場合には、他の制度と比較することをおすすめします。
給付金が一切受け取れないこともある
学資保険の給付金支払い時に、同額の貸付が残っていた場合、給付金を一切受け取れない可能性があります。
給付金支払いよりも貸付の返済が優先されるため、相殺という形で給付金から差し引かれるからです。もちろん返済額の方が少なければ一部の給付金を受け取れます。
保険契約が解約になってしまうこともある
条件により解約払戻金以上のお金を借りることも可能ですが、保険適用から除外され、場合によっては保険契約が解約になってしまうこともあります。また、返済滞納が続いたり、長期的な借り入れによって利息の加算で解約払戻金を超えたりした場合にも契約解除となる恐れがあります。
万が一学資保険の契約が解除となってしまうと、将来的な苦労を強いられることとなるため、借り入れは必要最低限にしておきましょう。
人気学資保険の貸付「かんぽ生命」に関する情報
日本郵政グループの「かんぽ保険」では契約者貸付制度にも対応しています。もし今現在、かんぽ保険の学資保険に加入していてお金が必要でしたら、契約者貸付制度へ申し込みしてみてください。
ここからは、そんなかんぽ生命にまつわる情報を徹底的にまとめてみました。
かんぽ生命で学資保険の貸付を活用してお金を借りる際の流れ
かんぽ生命の学資保険に加入していれば、その日のうちの借り入れが可能です。即日貸付をご希望でしたら、直接郵便局の窓口に出向きましょう。窓口にて保険証券と契約時の印鑑、本人確認書類などを提出し、全ての書類に問題がなければすぐに貸付金を受け取れます。
インターネットや電話を使って郵送での申請も可能ですが、実際にお金を受け取れるのは数日後になってしまいますのでご注意ください。
かんぽ生命学資保険の貸付における申し込みは平日16時まで!
かんぽ生命の窓口は郵便局と同じなため、学資保険の貸付における申し込みは平日の午前9時~16時までとなります。土日祝日や16時以降の申し込みはできません。申し込み可能時間内に窓口へ行けない場合には、委任状という手段もあります。
委任状さえあれば第三者でも手続き可能
委任状とは、契約者本人以外の第三者による貸付の申し込みが可能なる文書のことで、かんぽ生命の公式サイトからダウンロードできます。委任状のほか、本人と代理人の本人確認書類、及び代理人の印鑑さえあれば、その日のうちに貸付が可能になります。
家族や親族以外でも友人や知人などに依頼することもできます。どうしても本人が申し込みに行けない場合には、ぜひともご活用ください。
誰にもバレずに借りられる
学資保険でお金を借りた事実は、契約者本人以外に知らされませんので、配偶者や家族など誰にもバレずに借り入れできます。たとえ契約者本人以外からかんぽ生命へ問い合わせがあったとしても、貸付は大切な個人情報に該当するため、絶対に口外されません。
注意したいのは郵送で届く解約払戻金の総額です。貸付を受けることで当然解約払戻金は減額となるため、貸付がバレる可能性もありますのでご注意ください。
かんぽ生命の返済期限は1年間
かんぽ生命でお金を借りた場合、1年以内に返済する必要がありますが、毎月の返済日は指定されません。つまり1年以内であれば、返済日に縛られず、お金に余裕のある好きなタイミングでの返済が可能です。
どうしても1年以内に完済できない場合には、1年間で発生した利息分のみ全て支払うことで元金同額貸付が適用され、再び1年の延長が可能になります。
かんぽ生命以外で貸付制度が利用できる学資保険
かんぽ生命以外にも、学資保険で契約者貸付が可能な保険会社はたくさんあり、各会社によって金利が異なります。かんぽ生命の金利は1.5%~2.5%と最も低く、次いで住友生命保険、フコク生命と続き、最も高金利なのが大同生命と日本生命だとわかります。
保険会社 | 金利 |
---|---|
ソニー生命 | 2.5%〜8% |
フコク生命 | 2%〜5.75% |
アフラック | 2.75%〜4% |
大同生命 | 3% |
日本生命 | 3.0%〜3.75% |
明治安田生命 | 2.15%〜5.75% |
第一生命 | 3% |
住友生命保険 | 1.55%〜5.75% |
金融機関では教育ローンを取り扱っていますが、金利は低くて2.8%、高いと4.0%にもなるため、学資保険の貸付の方が金利負担が少なくなっています。ただし、学資保険への加入時期によって金利が前後することもありますので、契約者貸付利用の際には、事前に保険会社へ確認しておきましょう。
学資保険の貸付に関するQ&A
最後に学資保険の貸付に関するよくある質問と回答をまとめてみましたので、参考になれば幸いです。
学資保険の貸付でかんぽ生命を検討しています。融資を受けるまでの流れを教えてください。
もしすぐに融資を受けたいのであれば、平日の16時までに郵便局のかんぽ生命窓口に足を運んでください。保険証券、契約時の印鑑、本人確認書類などの必要書類を不備なく提出できれば、その日のうちに融資を受けられます。
どうしても時間的に本人が行けない場合には、かんぽ生命の公式サイトで委任状がダウンロードできますので、第三者でも申請が可能になります。
学資保険の貸付における利息はいくらですか?
各保険会社によって異なりますが、例えばかんぽ生命でしたら年利として1.5%~2.5%の利息が加算されます。かんぽ生命が最も低金利で、全体的な平均は2~3%前後です。消費者金融や銀行などのカードローンと比べて圧倒的低金利でお金を借りることができます。
学資保険の貸付は解約するとどうなりますか?
学資保険の貸付が残っている状態で解約をしてしまうと、解約払戻金で貸付分が相殺されます。また当然将来的な保険金の受け取りもできなくなります。きちんと返済をしていれば解約せずにお金を借りられますので、子供のためにも途中解約はおすすめしません。
学資保険の貸付制度はゆうちょでも利用できますか?
ゆうちょの学資保険はかんぽ生命が取り扱っており、もちろん貸付制度にも対応しています。郵便局の窓口へ直接足を運ぶか、もしくはインターネットや郵送を使っての申し込みも可能です。
数多くある貸付制度の中でもゆうちょが最も低金利でお金を借りられますので、これから学資保険への加入を検討しているのでしたら、かんぽ生命がおすすめです。
学資保険の貸付制度は恥ずかしいので利用できません。他に良い方法はありますか?
学資保険の貸付制度は契約者以外誰にもバレませんのでご安心ください。相談するのがどうしても恥ずかしい場合には、消費者金融のカードローンがおすすめです。消費者金融のカードローンでしたら、インターネットを使って申し込み可能で、ローンカードも自動契約機を利用することで誰にも会わずに受け取れます。
また、アコムやアイフルなどの消費者金融では30日間無利息サービスも適用されますので、期間中に完済してしまえば、金利負担0円でお金を借りられます。
かんぽ生命の貸付制度について教えてください。恥ずかしいのですが、生活が苦しいので利用を検討しています。
かんぽ生命の貸付制度とは、解約払戻金を担保に貸付可能な制度のことで、一定範囲内でしたら低金利でお金を借りることができます。インターネットのマイページから申し込み可能ですし、郵便局へ直接出向いて窓口で申請することで、即日にお金を借りられます。
貸付制度の利用は家族や配偶者はもちろん、周囲にも一切バレませんのでご安心ください。生活が苦しいのであれば、ぜひともかんぽ生命の貸付制度をご利用ください。
学資保険の貸付(契約者貸付)を徹底解説!まとめ
今回は、学資保険の契約者貸付で借り入れする方法やメリット、注意点などについて詳しく解説させていただきました。学資保険でお金を借りることで、審査なし&低金利で借り入れ可能ですが、万が一返済できない場合には最悪解約されてしまう恐れがありますので十分にご注意ください。
学資保険の契約者貸付を利用する際には、まず契約している保険会社に連絡してみてください。そして学資保険の借り入れに関するメリット・デメリットをしっかり理解した上で貸付の申し込みをしましょう。